スペクター&キツセ(1977=1990)『社会問題の構築』
第7章社会問題の自然史を。
パークは、社会学と歴史学の違いについて、社会学は制度に注目すること、そして特定な個々のケースたちを比較することによって、ある現象のタイプを集合的に描写し、そして一般性をもった出来事のシークエンスを析出していくことを挙げている。
グレイザーとシュトラウスのによれば、当時の社会学の限界として、個々のケース・スタディを詳細に行うだけの行き詰まりがあり、「一般化のために必要な比較分析を抜きして、具体性・特殊性の高い用語をより一般化なものと取り代えるだけで、ある分析のレベルからより高次のレベルへと『書き上げ』ようと試み」てしまっている。
スペクターとキツセは、方法としてズナニエツキの分析的帰納法、あるいは調査の指針をもたらす仮説として自然史モデルをつくりあげることを提案している。仮説として自然史モデルをつくり、それを検証するため経験的な調査と比較分析を行い、自然史モデルを修正していくという研究プログラムになる。もし、自然史なる一般的なシークエンスが存在しないとしても、それを検証するために行われた経験的調査と分析は財産として残る、と。
スペクターとキツセは、自然史モデルのなかでも、ある段階から次の段階に移る際の条件依存性(コンティンジェンシー)を明らかにすることが重要だと考えていた。条件の同定はまさしく比較分析を行わないとできない。
社会問題研究に限らず、活用したい考え方であることだ。
- 作者: J.I.キッセ,M.B.スペクター,村上直之
- 出版社/メーカー: マルジュ社
- 発売日: 1990/04
- メディア: 単行本
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- 第1章 序論
- 第2章 機能的定義と規範的定義
- 第3章 価値葛藤学派
- 第4章 社会問題と逸脱―いくつかの類似点
- 第5章 クレイム申し立て活動としての社会問題
- 第6章 社会問題活動の記述と分析―経験的研究の具体例
- 第7章 社会問題の自然史
- 第8章 社会問題をどう教えるか