足跡

@vbear00のメモ

『社会学評論』投稿論文に見る論文の構成

論文、研究計画とはどのように構成したら良いのか。背景・先行研究の扱いをどのように構造化したら良いのか。「成人の初心者」を扱うことは、社会情勢的な位置づけと、先行研究の位置づけで、二重の難しい。どちらの側面についても、あまり言及がないからだ。本当は、成人の初心者を扱うことについて、学問領域のレビューを含めた哲学的研究が必要なのかもしれない。

 

 

社会学評論』65(3)

兼子諭「公共圏論パースペクティブの刷新」:哲学的研究(思想)
1 はじめに―ハーバーマス公共圏論への問題提起
2 アレグザンダー「市民」論の整理―連帯をめぐる象徴領域としての市民社会
3 市民権のコミュニケーションモデルとしてのパフォーマンス
4 アレグザンダー市民論の問題点と意義

鳶島修治「高校生の教育期待に対する性別と出身階層の影響」:実証研究(仮説検証)
1 教育達成の階層間格差・男女間格差の生成メカニズム
 1.1 研究の背景と本稿の目的:社会情勢と本稿で行う分析の提示
 1.2 基本的な視点:概念の定義
 1.3 教育達成の階層間格差と学力自己認知:先行研究
 1.4 教育達成の男女間格差と学力自己認知:先行研究
2 学力自己認知に関する研究の検討:先行研究
3 分析の枠組みと方法
 3.1 分析枠組み:統計的手法
 3.2 仮説
 3.3 データ
 3.4 分析手法:データの処理
 3.5 変数
4 分析結果
5 結論と課題

内藤準「社会階層研究における機会の平等と完全移動」:哲学的研究(理論モデル)
1 はじめに
2 先行研究と課題
 2.1 「機会の平等」の基本的輪郭
 2.2 完全平等と機会の平等
 2.3 個人選択説からの批判
3 機会の平等の分析
 3.1 モデル
 3.2 階層再生産をめぐる社会の類型
  3.2.1 身分制的な閉鎖的社会
  3.2.2 教育や文化資本を通じた閉鎖的社会
  3.3.3 機会の平等と完全移動
  3.3.4 機会に意味のない開放的社会
 3.3 分析のまとめ
 3.4 指標としての完全移動の意味
4 個人選択説からの批判
 4.1 個人選択説の強力さ
 4.2 個人選択説の批判の解除
5 機会の平等に関する階層研究のアプローチ
 5.1 「階層」研究の基本的理論枠組み
 5.2 さらなる探求課題
  5.2.1 業績主義をめぐる諸問題
  5.2.2 規範理論的課題への社会学的アプローチ
6 結論 

伊藤美登里「連帯と承認をめぐる理念の生成と変容」:歴史的研究
1 問題の所在
2 先行研究の検討と調査方法
3 「市民労働」の変容
 3.1 ベックの市民労働
 3.2 市民参加促進のための州のモデル・プロジェクトとしての市民労働
 3.3 市民労働の意味変容―ベーシックインカムからワークフェア
4 市民参加の現状―ミュンヘン市を事例として
 4.1 市民参加促進の社会的背景
 4.2 ミュンヘン市における市民参加促進の仕組み
 4.3 市民参加の意義と問題点
5 考察
6 まとめ

川北稔「ひきこもり経験者による空間の獲得」:実証研究(記述)
1 問題の所在
 1.1 引きこもり支援の空間的側面:社会情勢と本稿で行う調査の提示
 1.2 経験の共有と語り合い:先行研究
 1.3 参加と体験の蓄積:先行研究
 1.4 支援空間の意義:先行研究の限界点と本稿の研究目的
2 フィールドとデータについて
3 支援活動による空間の創出:記述
 3.1 家族と若者支援
 3.2 居場所
 3.3 居場所から就労支援への移行
4 参加者の体験から見た空間の再獲得:記述
 4.1 自己否定感の緩和
 4.2 価値観の拡張と役割の獲得
 4.3 トラブルと修復の経験
5 考察
 5.1 空間の複数性の機能
 5.2 空間の対比性の機能
6 結語

 

社会学評論 2014年 12月号 [雑誌]

社会学評論 2014年 12月号 [雑誌]