『社会学評論』投稿論文に見る論文の構成
論文、研究計画とはどのように構成したら良いのか。背景・先行研究の扱いをどのように構造化したら良いのか。「成人の初心者」を扱うことは、社会情勢的な位置づけと、先行研究の位置づけで、二重の難しい。どちらの側面についても、あまり言及がないからだ。本当は、成人の初心者を扱うことについて、学問領域のレビューを含めた哲学的研究が必要なのかもしれない。
『社会学評論』に載ってる投稿論文の構成まとめてみたら、社会情勢との位置づけが最初に来て、先行研究は2潮流あげるのが多いのかなという気がした
— じゃんぬ (@vbear00) 2015, 1月 21
先行研究を増やすときに、潮流内での議論を詳しくするというより、潮流自体を増やす方向性になっちゃう時は、ニッチをとりすぎてる可能性がある
— じゃんぬ (@vbear00) 2015, 1月 21
『社会学評論』65(3)
兼子諭「公共圏論のパースペクティブの刷新」:哲学的研究(思想)
1 はじめに―ハーバーマス公共圏論への問題提起
2 アレグザンダー「市民」論の整理―連帯をめぐる象徴領域としての市民社会
3 市民権のコミュニケーションモデルとしてのパフォーマンス
4 アレグザンダー市民論の問題点と意義
鳶島修治「高校生の教育期待に対する性別と出身階層の影響」:実証研究(仮説検証)
1 教育達成の階層間格差・男女間格差の生成メカニズム
1.1 研究の背景と本稿の目的:社会情勢と本稿で行う分析の提示
1.2 基本的な視点:概念の定義
1.3 教育達成の階層間格差と学力自己認知:先行研究
1.4 教育達成の男女間格差と学力自己認知:先行研究
2 学力自己認知に関する研究の検討:先行研究
3 分析の枠組みと方法
3.1 分析枠組み:統計的手法
3.2 仮説
3.3 データ
3.4 分析手法:データの処理
3.5 変数
4 分析結果
5 結論と課題
内藤準「社会階層研究における機会の平等と完全移動」:哲学的研究(理論モデル)
1 はじめに
2 先行研究と課題
2.1 「機会の平等」の基本的輪郭
2.2 完全平等と機会の平等
2.3 個人選択説からの批判
3 機会の平等の分析
3.1 モデル
3.2 階層再生産をめぐる社会の類型
3.2.1 身分制的な閉鎖的社会
3.2.2 教育や文化資本を通じた閉鎖的社会
3.3.3 機会の平等と完全移動
3.3.4 機会に意味のない開放的社会
3.3 分析のまとめ
3.4 指標としての完全移動の意味
4 個人選択説からの批判
4.1 個人選択説の強力さ
4.2 個人選択説の批判の解除
5 機会の平等に関する階層研究のアプローチ
5.1 「階層」研究の基本的理論枠組み
5.2 さらなる探求課題
5.2.1 業績主義をめぐる諸問題
5.2.2 規範理論的課題への社会学的アプローチ
6 結論
伊藤美登里「連帯と承認をめぐる理念の生成と変容」:歴史的研究
1 問題の所在
2 先行研究の検討と調査方法
3 「市民労働」の変容
3.1 ベックの市民労働
3.2 市民参加促進のための州のモデル・プロジェクトとしての市民労働
3.3 市民労働の意味変容―ベーシックインカムからワークフェアへ
4 市民参加の現状―ミュンヘン市を事例として
4.1 市民参加促進の社会的背景
4.2 ミュンヘン市における市民参加促進の仕組み
4.3 市民参加の意義と問題点
5 考察
6 まとめ
川北稔「ひきこもり経験者による空間の獲得」:実証研究(記述)
1 問題の所在
1.1 引きこもり支援の空間的側面:社会情勢と本稿で行う調査の提示
1.2 経験の共有と語り合い:先行研究
1.3 参加と体験の蓄積:先行研究
1.4 支援空間の意義:先行研究の限界点と本稿の研究目的
2 フィールドとデータについて
3 支援活動による空間の創出:記述
3.1 家族と若者支援
3.2 居場所
3.3 居場所から就労支援への移行
4 参加者の体験から見た空間の再獲得:記述
4.1 自己否定感の緩和
4.2 価値観の拡張と役割の獲得
4.3 トラブルと修復の経験
5 考察
5.1 空間の複数性の機能
5.2 空間の対比性の機能
6 結語