足跡

@vbear00のメモ

ちきりん(2015)マーケット感覚を身につけよう

マーケット感覚とは、人びとが何に価値を感じているかを、実際の行動場面から見出す能力のことである。デザイン思考とか流行っていたし、これが大事だというのは耳にタコかもしれない。「JALの競合を考えよ」という課題があったとして、JAL事業を論理的に分解していくこともできるけど、飛行機を使わざるをえない場面を想像することもできる。例えば、すぐにでも海外に飛んで現地社員と会議する必要性を感じているビジネスマンは、Skypeテレビ会議ができれば飛行機を使う必要性を感じないだろう――彼の価値からすれば、JALの競合はSkypeなのである。こういう発見は、論理的な思考ではなかなか見出しにくい。人間は感情に基づいて動いていることも多いわけで、そうした行動パターンは現場に出てみないとなかなか分からない。逆に、そうやって今はまだ人びとの意識にのぼっていない価値を見つければ、新しい仕事が生まれるかもしれない。このマーケット感覚を養うために、著者はすでに売られている商品に「自分なりの基準でプライシングする」習慣などを提案している。決められた価格ではなく、それは自分にとってどれくらい金銭的価値があるのか、それはなぜかを考えることで、物事の裏にある価値観に気付きやすくなるという。こういう考え方は、研究者がやることと同じで、「なんで彼らはそんな行動をとるのだろう」、「その行動を促す背景には何があるのだろう」と、観察を深めていくことと変わらない。というか、結局何を価値として考えるべきかという問いは、あらゆる仕事、あらゆる人生に関係している。

 

*単なる本の要約みたいな文章になった。もう少し読んで自分がどう考えたか、自分の経験にひきつけたらどうなのか、という内容も書いてみたい。