茂呂ほか(2012)『状況と活動の心理学』
内容盛りだくさんでお腹いっぱい。
なんで学習周辺でICT技術使うのが幅を利かせてるのかわからなかったのだけど、大戦中にアメリカの兵員教育にコンピュータが使われたのがはじまりで、スプートニク・ショックの際にはCAI研究にめっちゃ補助金が出たのが教育工学が成立するきっかけだったとか、そういう事情があるぽい
— じゃんぬ (@vbear00) January 8, 2015
心理学と学習/教育は蜜月関係にあるんだなという感じだ。
もし演劇の製作・受容過程の研究をするならあれを参照するよりも他の中間団体についての精度の高い研究を起点にした方が実りが多い気がするとの印象を持ちました。
はい、中小企業のイノベーションの過程とか、官庁の内部に通達のシステムとか、未開集落の祭祀と観光の関係とか、いろいろアプローチの仕方の源泉はあると思う。
というリプライをいただいて、視野がぐっと広がった気がする。本書がいうように、ワークプレイス研究が一大分野として蓄積があるなら、そこでの実証研究の方法や知見を、アマチュア芸術に持ち込んだほうが、実りが多い可能性。「芸術研究」の先行研究ばかり見ていると、質の低いものばかり目についてしまうことが確かで、それなら職場研究とか企業組織研究とかを、もっと積極的にレビューしていっても良いかもしれない。トランジション研究ふくめ、中原先生の領域も抑えておいた方が良いだろうな。あと、学習者の参加動機の研究は、そこから発展のさせようがあるか微妙かもしれず、やはり組織研究とつなげたほうが、学習環境デザインとしても面白くなると思う。初心者が芸術生産組織の中でどう位置づけられるのか、という問題。ただ、自らの活動をアマチュアはどう意味づけているのか、という点に踏み込むのもありだなとは思う。学習関係なしの社会学すぎるかもしれないが。
追記:2015.2.4
メーハンによる教室談話研究によると、授業はI-R-Eのターンシーケンスにもとづいく話者交代によって進んでいく(p.128)。Iとは initiation 働きかけ、Rとは reply 応答、Eとは evaluation 評価、である。この構造は、合唱の練習でも同様だ。合唱が「フォーマル」なものであるという言明は、こうした点から主張すれば、より実証的知見に基づいた議論ができるだろう。ただし、合唱の練習においては、談話に歌唱が含まれる。特に、団員は談話というより、歌うことによって、指導者に対して応答する。エスノメソドロジーの会話分析をこうした歌唱活動を含む実践にまで展開していくことは、可能なのか、可能ならいかに?。
状況と活動の心理学―コンセプト・方法・実践 (ワードマップ)
- 作者: 茂呂雄二,青山征彦,伊藤崇,有元典文,香川秀太
- 出版社/メーカー: 新曜社
- 発売日: 2012/04
- メディア: 単行本
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- 1章 社会文化状況のコンセプト
- 2章 実践
- 3章 実践のドメイン
- 4章 教育実践へのアプリケーション
- 5章 方法・理念と手続き
- 6章 インフォメーション