Bourdieu(1963)『社会学者のメチエ』
ふわけんに向けて。
ブルデューが動機づけ概念をけっこうやり玉にあげてる(まだ『心を名づけること』読んでない
— じゃんぬ (@vbear00) 2015, 2月 27
動機づけは因果的な説明のために用いられるが、(特に回顧的な研究プログラムから動機づけを明らかにする場合は特に)それが行為の事後的な合理的説明=動機の語彙ではないかという批判は免れない。ブルデューは「これらの言説は行動を説明したものではなく、説明すべき行動の一側面であるとみなさなければならない」(p.85)と、穏当にまとめているけれど。心理学者は、動機の語彙について、どんな反応をしているのか? そもそも、動機づけ概念と、ミルズと動機の語彙についてもっと知らなければ。
- 日常の、常識的な、言葉づかい(あるいは概念、カテゴリーの使用)を無批判に使った、議論(「自生社会学」)を行ってしまうことに気をつけよ
- 認識論的切断をなさなければ、学としての社会学を成り立たせることはできない
- 研究の方法が、いかにして研究対象を「つくりあげている」のかを検討せよ
- 方法論の記述的な側面に囚われて、認識論的な部分(何を区別し、何を同一視しているのか…)を見逃していては、研究の核となる原理を得られない
- いかなる調査方法を用いて観察するにせよ、そこには対象を認識するための「理論」が必ず介在している
「なぜその事例を取り上げたのか?」という問題は、自分の卒論に対しても、あるいはロゴスの査読会議でも取り上げられていた。自分としては、初心者に丁寧な配慮をしている団体を取り上げることは、(そんな団体は世の中にはあまりないだろうという意味で)少し気乗りがしない面があったが、しかし、理念型をつくるためにあえて極端な事例を取り上げるのだ、としてみれば、割と納得できることに気付いた。
範型としての理念型は、関与特性を極限ケースまで変換してみることによって、さらに「一方の特性だけを強調すること」によって獲得された純粋な虚構であることもあれば、構成された対象の大多数の特性を、最高度に示している観察された対象である場合もある
理念型は、純粋な模範から現実がどれだけ逸脱しているか、その距離を客観的に観察することによって、現実の行動を客観化することを可能ならしめる
こうした理由からモースは、全面的交換であって闘争的交換であるタイプの一群の交換のなかから、最も極端な形式であるポトラッチを特権的対象にしたのであり
p.107
初心者に配慮している団体をとりあげ、組織内学習の理念型を構成することで、その他の団体が初心者にどれだけ配慮しているのかを測るための規準を設けることになるわけだ。
ブルデューは理念型を用いることを評価しているし、また仮説形成におけるアナロジーの利用についても有用性を認めている。アナロジーで「説明」することは慎んだほうがよいが、アナロジーによって比較軸をもちこみ、仮説をつくっていくことは、科学的な発見においてむしろ有効な技術となる。もちろん、仮説は、論理的にテストされねばならない。
社会学は、事例の記述的研究―それ自体には推論を可能ならしめる論拠は何もない―から脱却し、考察された事例を説明する類似の事例の集合をつくりあげるまで、可能なアナロジーにもとづいた仮説を増やしていかなければならない。そしてこれらのアナロジーそれ自体をつくりあげるために、社会現象と、他の科学(まず手始めに言語学、民族学、あるいは生物学さえも)によってすでに形式を与えられた現象との間に構造のアナロジーがある、という仮説を社会学者は手がかりにできるし、それは正当なことである。
p.109
企業組織の研究(くしくも今号のハーバード・ビジネス・レビューを購入した。ソシオメトリック・バッジによるワークプレイス研究など)、スポーツの研究などなどの知見を、アナロジーとして持ち込むことは有効な策であるはずだ。
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- 第Ⅱ部 対称の構成 事実は構成される―経験主義的責任放棄の諸形態
- 第Ⅲ部 適用合理主義 事実は勝ち取られ、構成され、事実として確立される―認識論的行為のヒエラルキー
- 結論 知識社会学と認識論
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