秋葉(2009)「エスノメソドロジー研究のパフォーマンス」/赤川(2009)「言説分析は、社会調査の手法たりえるか」
卒論やってて自分の知見を生み出すことの困難さ、質的研究のつらさを痛感したり、修士での研究は実践的なものも求められるのだろうかと考えたり、あるいは、「社会学者が実際にやっていること/やってきたことは何か」の研究プログラムの萌芽を見たりするなかで、方法論への関心が高まる。スメルサーもその一環であるわけだが。
秋葉論文は、エスノメソドロジーのスクリプトを用いて演劇ワークショップをやったというもので、経験的調査と実践・臨床をどうつないでいくかの例として興味深い。あるいは関係性の美学との関連で。これなんかは、来年からの研究室ともよく馴染みそう。その場合、ワークショップとしてどういう意義、学習があったかが問われるわけだが。
赤川論文は、興味本位だが面白かった。ある定型をもった言説群がなぜ登場し、なぜ登場しなくなっていくのか、それを問うための言説分析を主張している。必然的にそれは歴史社会学に含まれ、フーコーの関心を引き継ぐ。そして、構築主義のプログラムと連携させられる。『社会調査法』の教科書のなかに、言説分析のページをつくれるように手法として鍛えていくというのは、方針としてとても面白い。
というか、社会調査法関連の教科書をまったく読んでいないことに気付いた。フィールドワークの技法やアクティブインタビューをふわけんで読んだとはいえ。統計もちゃんとできていないし。しかし、同期が大学院で文化消費=ライフスタイルの量的研究をやると聞いて、ぜひ自分もそこに乗っかっていきたいと思った。文化消費や生涯学習を含めたかたちでの、文化とライフスタイル研究会の発足を検討せねば。
- 秋葉昌樹, 2009, 「エスノメソドロジー研究のパフォーマンスー質的調査研究の臨床性およびエスノメソドロジーの演劇的異化」『社会と調査』3: 45-51
- 赤川学, 2009, 「言説分析は、社会調査の手法たりえるか」『社会と調査』3: 52-58
- 作者: ジェイムズホルスタイン,ジェイバーグブリアム,James A. Holstein,Jaber F. Gubrium,山田富秋,兼子一,倉石一郎,矢原隆行
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